小説も含む文学は、経験を伝える。
読む作業によってのみ読者が得る事の出来る
経験であり、上手くいけば読者は何らかの
喜びを得られる。

本『炎上する君』

珍しく女性作家の小説を読んだ。
西加奈子さんの『炎上する君』。
2010年に初版発行された、8編からなる短編集。
たまたま、YouTubeでVOGUE制作の動画に
西さんが出演されていて、イイ感じの人だなぁ
と思い、しかも僕と歳が近かったので、
図書館で借りてみました。

20代後半〜30代前半に掛けての女性を主人公に
した作品が殆ど。
40代のおじさんが、20代中盤〜30代前半の女性
を疑似体験する中々興味深い時間でした。
西さんの作品は、どこか社会に馴染めない女性
が、悩み、苦しんだ末に希望を見いだしていく。
小説の中の現実世界から突如ファンタジーの世界
に入っていく作品も幾つかある。
妄想の世界の人達は、みんな優しい。
主人公達も、みるみる自信を取り戻していく。
なんか「頑張れ」とお尻を叩かれて生きると
言うより、なる様になる的などこか脱力した
感じが心地よい。

個人的には、
拾った携帯電話を題材にした「空を待つ」や、
ひょんな事から炎上してしまう「炎上する君」、
そしてお尻で人生が変わってしまう「私のお尻」
が設定の面白さなどで唸らされました。

勿論、鋭い表現も多数。

あきらめることの難しさに、
いつも苦しめられた。

(from「太陽の上」)
芯を食ってるなぁ。

とか、

「きれいごと」こそ、今の私が、
一番求めているもののような気がした。

(from「空を待つ」)
確かに、否定的な事を言う人が多いから、
そう感じる時あるかも。

とか、

親からは結婚しろ、とか、働け、などと言われ
ていたけれど、二十六歳、恋愛や安定よりも、
夢を叶えるほうが大切だ。

(from「甘い果実」)
目標がある人の正直な気持ちだろうな。

とか、

とかく男性というのは阿呆で低能で見るのは
女の体ばかりで女を自分たちより低級なもので
あると信じて疑わず頭の中は中身のない女との
痴態ばかり、(中略)自分たちより知識も技術も
能力もある者を敵視するものである。

(from「炎上する君」)
強い女性は、そう見てるんだろうな。

などなど。

時に頷きながらサクサク読める。
読後感がいいのは、悩める女性にエールを送る
前向きさを感じるからだろう。

それにしても、
孤独を感じている女性は案外多いのかも。
オッサン的には、恋愛とか関係なく、出会った
女性には優しくしなきゃと思わされました。

一期一曲

今回は、ノルウェーのシンガーソングライター
Auroraをピックアップします。
『アナと雪の女王2』のサントラ収録曲
“Into the Unknown”でフィーチャーされ、
さらに注目度が高まった彼女。
Bjorkを彷彿とさせる妖精の様な歌声は、
癒し効果すら感じます。
そんなAuroraちゃんのキングダムならぬ
女性が主人公の『Queendom』を。