薄々感じていた事を文章化されると、
驚きと同時に得も言われぬ喜びがあります。
きっと多くの人が、そんな感覚を得られる
素晴らしい本と出合ったのでご紹介します。

本『心』

“どうしたら世界で通用する日本人になれるか?”
個人的にずっと考え続けているテーマの1つだ。
日本の精神的強さはどこから来ているのだろう。
それを知る為、これまでに武士道や茶道にまつ
わる本を読み日本の近現代史を学んでいる。

気付いたのは、日本の精神が“仏教”から多大なる
影響を受けている事。周知の事実である事は百も
承知だが、現在、改めてその価値を認める人は多
くないだろう。武道にせよ茶道にせよ達人と呼ば
れた人達は、“禅(=仏教の宗派の一つ)”の教えか
ら多くの事を習得している。
海外では、スティーブ・ジョブスを始めシリコン
バレーで活躍する人達、ウォール街で働くトレー
ダーの多くも座禅を取り入れている。国内の禅寺
に修行にくる外国人も多い。

仏教には、欧米人も魅了する何かがありそうだ。

そしてたまたま読んだのがこの本
『心 -日本の内面生活の暗示と影響-』。

小泉八雲としても知られる、日本民俗学者で作家
のラフカディオ・ハーンによる13冊目の著書。

【ラフカディオ・ハーン】
パトリック・ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)は
、1850年6月27日にギリシャ生まれ。
イギリスとフランスでカトリックの教育を受け、
19歳で単身、アメリカに移民。万博で出会った
日本文化、ニューヨークで読んだ英訳『古事記』
などの影響で1890年4月に来日。
島根県、熊本県の中学で英語教師になり、
神戸クロニクル社(英字新聞)の勤務を経て、
1896年帝国大学文科大学講師その後早稲田大学
で教鞭を執る。この間、1896年には松江の士族
の娘、小泉セツと正式に結婚し、日本に帰化。
三男一女に恵まれる。生涯で約30の著作を遺し、
1904年9月26日心臓発作にて54歳で他界。

【内容】
『心-日本の内面生活の暗示と影響-』は、1896年
ボストンとロンドンの書店から同時出版されたモ
ノを1950年に日本語に翻訳。外国人の視点から
見た明治の日本人の特徴を、小説、随筆、論文の
要素を渾然一体化して示した短編集である。

帰化したくらいなので、日本に対する理解と憧れ
は並々ならぬものがあったのだろう。
小説風に書かれた章は、どれも心に染み入る内容
で思わず涙を誘う。日本に関する論文もご本人が
カトリックの教えを学び西欧文化で育ったバック
ボーンを活かし、西欧と比較しながら書かれてい
るので説得力もひときわ強い。
特に印象的だったのは、日本の精神的な強さを
仏教と神道からの影響に認めている点だ。

【日本の道徳観】
“日本の道徳観を神道と仏教に見出す。
自分の一家のこと、もしくは自分のことを考える
前に、まず天皇と国家のことを思うことを国民に
教え込んだ、神道。悲しみに打ち勝ち、苦しみを
忍び、執着するものを滅却し、憎悪するものの暴
虐を、永遠の法則として甘受するように国民を鍛
え上げた仏教。この2つの宗教の影響で、日本の
国民性は、利己的な個人主義が比較的少なく、欧
米列強から独立を保つことが出来た。”
(本文より)

“日本の仁と義の文明は、西洋文明よりも卓越し
ている。西洋の優越は、倫理的なものではなく、
弱肉強食の道具に用いられてきた、知性の力に存
するのである。神道の過去に対いする忠実な感謝
の念。死者に対する感情は、どこまでも感謝と尊
敬の愛情である。”
(本文より)

上記2つの抜粋からも分かる様に、日本人の個人
的な精神を鍛えたのは仏教で、国民的な精神を養
ったのが神道と言う見解である。
数年前に自分が気付いた事を、100年以上も前に
しかも異国の地から来た人が気付いていた事を
知り深く感動させられた。

【感想】
日本の善い点に多くフォーカスが当てられている
ので、悪い点も多々ある事を意識して読む必要が
あった。また、時代が時代なので非常に抑圧され
た印象も強い。兎に角、スパルタ的な鍛え方で強
靭な精神の持ち主を輩出する社会だったのは間違
いなさそうだ。勿論、現代では受け入れられない
価値観であるかもしれないが、これからを生き抜
く大いなるヒントが散りばめられている。
先祖から受け継いでいるモノが何でありその源泉
を知る事は、とても有意義だと思う。
そう言った意味でもこの本は、多くの人に読んで
もらいたい一冊である。

一期一曲

今回は、映画『おおかみこどもの雨と雪』
『バケモノの子』や日本生命のCM曲などを手掛
ける映像作家で作曲家/ピアニスト高木正勝さん
の『I am Water』を。どことなく“和の心”を感じ
るのは気のせいかな・・・