子供の頃の大きな疑問。
「なんで勉強するの?」
その答えを教えてくれる人はいませんでした。
皆さんだったらどう答えますか?

『すごい物理学講義』

「やっと終わった。」
3日間の短期集中講義も終わりホット一息。
心地よい脱力感が襲う。
学生時代から十数年振りに受けた講義。
厳密に言うと“読書”と言う名のこの講義は、科学に関するモノ。
海外ドラマや洋画では、科学や数学をテーマにした作品が少なくない。
「グッドウィルハンティング」、「イミテーションゲーム」、
「インターステラ」、「ゼロ・グラビティ」、「ビッグバンセオリー」…
きっとエンタメ界で働く人達は、
科学や数学に関する知識を豊富に持っているに違いない。
これらの作品が好きな人間にとっても、科学や数学は興味の対象だ。
そこで手に取ったのが一冊の本『すごい物理学講義』。
教鞭を執るのはイタリア出身で
“ループ量子重力理論”の第一人者カルロ・ロヴェッリ教授。
なんだか難しそう。
予想は的中。
皴一つないツルツルの脳みそが音を立てる。
カランコロン、カランコロン…
何度同じ箇所を読んでもなかなか理解できない。
久しぶりに脳に汗をかく経験をした。

講義内容は、
物理学のこれまでと現代物理学の基礎となる考え。

最初に、科学者オールスターズの実績をザックリと紹介。
【ピタゴラス】形態と思考を支配するのは数である。
【プラトン】天体が従っている数学的な法則を模索。
【プトレマイオス】天文学者の研究をまとめ、緻密な計算方法を導き出す。
【コペルニクス】地球はほかの惑星と一緒に、太陽の周りを回っている。
【ガリレオ】人類史上初となる「実験」を行う。
物体を自由に落下させる、一定なのは速度が変わる速さ。
1秒ごとに9.8m毎秒だけ増える。

【ニュートン】地球のすぐそば、実際の山の頂よりほんの少し高い所で、
ほとんど地球に触れそうになりながら回っている「小さな月」があると仮定。
どれくらいの速度で動くのか?1秒ごとに9.8m毎秒増加。「重力」の発見。

【ファラデー】電荷を帯びた物体同士相互作用を与えあう「場」の存在を提唱。
物体同士をつなぐ場を線で表したモノを力線とよぶ。

【マックスウェル】力線を数式化。
【アインシュタイン】一般相対性理論を考案、量子力学を発展させる。

これで現代物理学の2大要素「一般相対性理論」「量子力学」が出揃う。
本編ではこの2つの概要を解説。
知識不足の自分には“オェー”と思うほどの難しさ。
更に、2つの考えをミックスした「量子重力理論」へと進み、
とうとう頭からは湯気が・・・
そうこうしている間に、ブラックホールと熱と時間の関係、
最終的には情報の概念を使った理論構築へといざなわれる。
(数式が殆ど出てこないので概要程度の理解)

僕には、ずっと抱えていた2つの疑問があった。
一つは、「科学とは一体なにか?」。
もう一つは、「数学と科学の関係とは?」。
講義が終わった頃には、2つの疑問は晴れていた。
「科学」とはまだ誰も知らないことを解明しようとする冒険。
“事物の性質、未知の事物に対する答えは観察と理性を適切な方法で用いること。
さらに批判的な思考を正しく用いることで、世界に対する自らの視点を修正出来る。”
  
「数学」とは、観察と理性の仲介役として科学に必要不可欠な存在。

講義を受けている最中 知人からは、
「なんで “物理” なんか勉強してるの?」とツッコまれるも、
「興味あるから」としか答え様がなかった。
しかし、やりきってみるとわかった事もある。
物理の勉強は、物事の本質を考える力を鍛える訓練だった。 
厳しい環境に陥れば、そこから抜け出す為に色々考えざる負えない。
そうして思考力は鍛えられる。
ただ、なに不自由のない生活をしていると
意識的に何かをしない限り思考力は衰えてしまう。

そうか!
「なんで勉強するの?」の一つの答えは、
思考力を強化する為と今なら確信をもって言える。

一期一曲

アイスランドのポストロック・バンドSigur Ros。
“ポストロック”と言うだけあって音は ボワァーとしていますが、
暗闇に差し込む光の様な美しさ。
クラシックのオーケストラをロックで表現していると言った印象。
そんな彼らの2005年にリリースされたアルバム『Takk….』から『Glosoli』を。
前半の“静”のパートから徐々に“動”に移っていく感じ。
ライブを観て、一粒の涙が頬をつたった事を想い出しました。