「美しい」って何だろう?
突然、そんな事を考え始めたので
すが、これが中々説明できない。
そこで、ある本に出会いました。

本『美について』

その名もズバリ『美について』。
1973年東大の名誉教授 今道友信さん
によって書かれました。
今道さんは、文学博士で哲学美学比
較研究国際センターを主宰された方。

内容の深さにビックリ、完全に哲学
書でした。

【内容】
山河の美しさ、芸術の美しさ、人格
の美しさ・・・ “美”は様々な形で
人間の前に立ち現れます。そんな
“美”について解説した一冊。

自然の美しさ、自分の好みの異性な
ど個人の感覚をどうこう言った内容
ではありません。
ただ、“美”には感覚だけでは見つけ
られない、知識を必要とする場合が
多にしてあります。遺跡にはその歴
史に裏付けされた美しさがあり、ピ
カソの「ゲルニカ」には暴虐に屈し
ない人間の良心の希望の強さを加味
した美しさがあります。

この本は、知識を持った上で直接触
れたり、体感するこで見いだせてく
る美しさについて考察しています。

【「きれい」と「美しい」の違い】
「きれいな街」と「美しい街」って
違いますよね。この場合、美とは感
覚的なきれいではなく、心によって
生じてくる輝きの事。例えば、京都
。近代的なきれいな建築よりも古び
た寺院など歴史的建造物が多い。
当然、きれいな街と言うより美しい
街と表現します。

【美と芸術】
美を語る上で芸術について考えてみ
る事は非常に有益。芸術において美
は必ずしも唯一の成立動機ではあり
ませんが、美が大きな役割を占めて
います。芸術こそ人間精神の求める
美の理念が最も具体的に凝縮されて
いるからなんです。

では、芸術とはなんでしょう?

芸術とは、人間によって組み立てら
れた秩序をもつ美しく快い作品にま
で作り上げる「技術」と言えます。
その為、様式を会得することは、
芸術の制作、鑑賞、批評、解釈のい
ずれにとっても不可欠であり、また
、芸術に関する教養としても要求さ
れる条件でもあるのです。

ただ、様式を会得し技術があっても
、それが並み外れていないとダメな
んですよね。

純粋に個人の体験であるものが、
一つの秀でた作品に凝縮されると、
いつの世のいずれのひとの心にも、
自分の体験であるかのように感じ
るものとなる、というところに
芸術の一つの神秘があります。

どの様な平凡な体験でも、誰か芸術
家の手にかかると、その作品の中で
感動すべき輝きに変身しうるという
こと。ありとあらゆる物事に潜んで
いるイイ点(美しさ)が、作品の中に
表れているので、芸術を体験するこ
とで、自分の人生を内側から充実さ
せることに繋がる。
人間は芸術によって自己の精神を高
める事ができるのです。

【芸術の社会機能】
芸術は、教育にも多大な影響を及ぼ
しています。例えば、国語を習うと
きに、どの国の国語の教科書も、誇
るべきその国の古典や新しい文学作
品で満たされ、われわれは知らずに
芸術的環境の中で、自分の言語を磨
いてきたのです。

また、音楽、映画、演劇、翻訳文学
などを享受する事により、語学学習
やその国への旅行、そして人から話
を聞かなくても外国文化を知る事も
できます。

【人格の美しさ】
では、美しい人とはどんな人を
言うのでしょう?

「きれいな人」とは、姿かたちが整
っている人の事を指すと思います。
対して「美しい人」は、生き様に関
係してくるのではないでしょうか。

真に相手の立場に立とうと努力して
、本当にこの世を美しくしようとい
う心がけが、行為の美しさ、あるい
は思いやりの美しさを生んでゆく。
美しい人の、「美」は精神の犠牲と
表裏する人格の姿なのです。

【まとめ】
もともと、音楽や映画が好きで
「エンターテイメント」と「芸術」
の違いをずっと考えていました。
目的が違うのは明白でしたが、どち
らにも心を動かされる何かがある。

それは、なんだろう?

「美しさ」に関係しているのでは
ないだろうか?と考え始めてこの
本を読んだんです。

「美」と言っても様々なモノがあ
り、音楽や映画の美しさと富士山
の美しさとはわけが違う。
音楽や映画は、人の卓越した技術
を必要としている。しかも、芸術
性の高い作品=なにか美しいもの
を創造しようとするときには、我
々に与えられている生命を捧げる
ほどの覚悟や犠牲や喜びがなけれ
ばならない、という事がわかりま
した。

これは音楽や映画だけでなく人生
論にも繋がる話です。
「美」を追求することは、自分を
省みず、人のためにどんな小さな
ことでもよいから、愛を持って成
し遂げていこうとする希望に満ち
た生き方、と言う一文は、今も、
深く考えさせられています。

一期一曲

今回は、クラシックです。フランス
の作曲家クロード・ドビュッシー。
19世紀後半から20世紀初頭にかけて
最も影響力を持った作曲家とも言わ
れています。そんなドビュッシー
初期(1888年)のピアノ作品『2つのア
ラベスク』の第一番を。川が流れる
様な美しい曲です。